宗和税理士法人は、税務申告書の作成から、組織再編成、事業承継税務、税務に関するデューディリジェンスに至るまで、幅広いサービスを提供しています。
川北 博 著
定価:3,500円(税抜)
単行本: 407ページ
出版社: 日本公認会計士協会出版局
発売日: 2008/07
おすすめ度: 5つ星のうち
5.0
※ご注文はamazon.jpにて承ります。
仮想通貨と所得税
(1) 概要
個人がビットコインをはじめとする仮想通貨を売却又は使用すること等により生じる利益については、原則として公的年金等以外の雑所得に区分され、総合課税として所得税が課税されます。仮想通貨の売却等により所得を得た方は所得税の確定申告が必要となりますのでご注意下さい。(年末調整済みの給与所得を有する方で、仮想通貨の売却又は使用による所得が20万円以下の方については、その他の所得がない場合、確定申告は不要です。
その他確定申告が必要となる場合につきましては
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm
(国税庁【確定申告が必要な方】)をご確認下さい。)
(2) 取引の種類に応じた所得計算
雑所得の金額は総収入金額-必要経費で求めます。仮想通貨の場合では仮想通貨に係る収入金額-仮想通貨の取得価額で所得金額を計算します。以下、取引の種類に応じ具体的に所得金額を計算してみます。
(3) 仮想通貨の取得価額
取得価額の計算方法は、原則として移動平均法とされていますが、継続して適用することが要件として、総平均法を用いても差し支えないことになっています。
(4) 損失の取扱い
雑所得の計算上生じた損失については、他の所得と損益通算をすることはできません。ただし、仮想通貨で生じた損と益は雑所得内で通算することができ、仮想通貨以外の雑所得がある場合にも、通算は可能となります。
(5) 仮想通貨に関する所得の所得区分
事業所得者が、事業用資産として仮想通貨を保有し、決済手段として使用している場合、その使用により生じた損益は事業に付随して生じた所得と考えますので、その所得区分は雑所得ではなく事業所得となります。その他、その仮想通貨の運用によって得られる収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合にも、その事業区分は事業所得となります。
(6) 仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合
所得税法では心身に加えられた損害につき支払いを受ける損害賠償金は非課税とされています。
仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返金することができなくなったとして日本円による補償金の支払を受けた場合には、顧客と仮想通貨交換業者との契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになりますが、一般的に返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を取得したのと同じ結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれるものと考えられます。そのため、この場合の補償金は非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得又は事業所得として課税の対象となりますのでご留意下さい。
<参考URL>
【国税庁】仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)
【国税庁】仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1525.htm