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川北 博 著
定価:3,500円(税抜)
単行本: 407ページ
出版社: 日本公認会計士協会出版局
発売日: 2008/07
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被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
空き家の発生を抑制するための特例措置として、平成28年度税制改正により、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋(一定の要件を満たす空き家等)の譲渡について、3,000万円の特別控除の特例が創設されました。
1 制度の概要
相続又は遺贈により被相続人の居住の用に供していた家屋及び当該家屋の敷地等を取得した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は当該家屋を取り壊した後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得金額から3,000万円を特別控除することができます。
2 適用要件
(1)対象家屋
① 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること。
② 相続開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものであること。
③ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であること。
④ 相続時から譲渡時まで事業用、貸付け用又は居住用に供されていたことがない家屋であること。
(被相続人の居住の用に供していた家屋の全部の取壊しをした後に土地のみを譲渡する場合には、取壊しをした
家屋について相続時から当該取壊し時まで事業用、貸付け用又は居住の用に供されていたことがないこと、
かつ、土地について相続時から当該譲渡時まで事業用、貸付け用又は居住用に供されていたことがないこと。)
⑤ 譲渡時において一定の耐震基準を満たすものであること。
(2)譲渡期間
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成28年4月
1日から平成31年12月31日までに譲渡すること。
※特例の適用対象となる相続発生日は「平成25年1月2日」以降となります。
(3)譲渡する際の制限
① 譲渡価額が1億円以下であること。
※譲渡価額が1億円以下であるかどうかの判定は、相続時から本特例の適用を受けて当該家屋又は当該家屋の敷地
等を譲渡した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に分割して売却した部分や他の相続人が売
却した部分も含めた売却金額により行います。このため、当該家屋又は当該家屋の敷地等を売却し、すでに本特
例の適用を受けていた場合で、当該家屋又は当該家屋の敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する年の
12月31日までに本特例の適用を受けた当該家屋又は当該家屋の敷地等の残りの部分を自分や他の相続人が売却
して売却代金の1億円超となった場合には、当該売却日から4ヶ月以内に修正申告書の提出及び納税が必要とな
ります。
② 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して譲渡したものでないこと。
(4)他の税制との適用関係
① 併用不可(選択適用)
・相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例(措置法39条)
・収用等の場合の特別控除(措置法33条の4第1項)
② 併用可
・(自己)居住用財産の譲渡所得の特別控除(措置法35条第1項)
※同一年内の併用の場合、2つの特例合わせて3,000万円が控除限度額となります。
・特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例(措置法36条の2)
・特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措置法36条の5)
・住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(措置法41条)
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措置法41条の5)
・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措置法41条の5の2)
3 適用を受けるための手続
本特例の適用を受けるためには、次に掲げる場合の区分に応じて、それぞれ次に掲げる書類を添えて確定申告をすることが必要となります。
(1)家屋又は家屋および敷地等を譲渡する場合
① 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
② 譲渡資産の登記事項証明書等
③ 譲渡資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
④ 譲渡資産の売買契約書の写し等
⑤ 譲渡資産の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し
(2)家屋の全部の取壊し等をした後に敷地等を譲渡した場合
上記3(1)①~④に掲げる書類